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関口 哲弘; 横山 啓一; 矢板 毅
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 20(3), p.186 - 195, 2022/07
Cs-135を含む長寿命核種の同位体分離に関する技術開発は放射性廃棄物の減容化および中性子照射による長寿命核種の核変換消滅の要素技術として重要である。THzレーザー光をヨウ化セシウム分子Cs(-133/-135)Iに照射することにより同位体選択的な解離反応を引き起こすことができる。しかし問題として、選択的に生成するCs-135原子は安定同位体から成るCs(-133)I分子との衝突により、同位体交換を起こす。よって我々はCs原子のみを選択的に吸蔵材料に回収し、衝突を回避する試みを検討している。Cs原子は炭素(C)吸蔵材料内の数100オングストロームの深部まで侵入する。それに対しCsI分子は材料内に浸透しない。しかし室温ではCsI分子が堆積する問題が残された。本研究では加熱によりCsI堆積を防ぐことを検討した。X線光電子分光(XPS)測定を行い、材料の組成,深さ濃度分布,膜厚を評価した。Cs蒸着後の加熱アニーリング効果およびCs蒸着中の加熱効果を調べた。CsI分子が表面に残らず、Csが炭素材料に残存する可能性について検討した。
馬場 祐治; 下山 巖; 平尾 法恵*
Applied Surface Science, 384, p.511 - 516, 2016/10
被引用回数:5 パーセンタイル:25.9(Chemistry, Physical)層状酸化物に吸着した放射性セシウムの化学結合状態を明らかにするため、放射性セシウムの原子数に匹敵するレベルの極微量セシウムおよび他のアルカリ金属について、放射光を用いたX線光電子分光測定を行った。人造マイカ表面に吸着したセシウムでは、X線の全反射条件で光電子分光測定を行うことにより、1cmあたり100ピコグラム(200ベクレルのCsに相当)までのセシウムの測定が可能となった。光電子分光スペクトルを詳細に解析したところ、セシウムとルビジウムでは極微量になるほど、内殻結合エネルギーが低エネルギー側にシフトした。一方、ナトリウムでは逆の傾向が認められた。これらの化学シフトを点電荷モデルにより解析した結果、いずれのアルカリ金属においても、金属-酸化物間の結合は微量になるほど、より分極が大きくなりイオン結合性が高くなることが明らかとなった。
Mannan, M. A.*; 馬場 祐治; 木田 徹也*; 永野 正光*; 野口 英行*
Materials Sciences and Applications, 6(5), p.353 - 359, 2015/05
蜂の巣状の構造を持つ六方晶ホウ素-炭素-窒素化合物(h-BCN)の合成を試み、その構造を調べた。試料は高周波プラズマ誘起化学蒸着法により作成した。欠陥の少ないきれいな薄膜を合成するため、h-BCNと格子定数の近いダイヤモンドを基板に用いるとともに、蒸着中の基板温度を950Cと高温に保持した。X線光電子分光スペクトル(XPS)測定の結果、合成したh-BCN薄膜の組成は、ホウ素0.31, 炭素0.37, 窒素0.6であった。放射光を用い、ホウ素K吸収端および窒素K吸収端のX線吸収端微細構造(NEXAFS)スペクトルを測定した結果、得られた薄膜は理想的な蜂の巣状の構造を持ち、窒素の欠陥はほとんどないことが明らかとなった。
山本 博之; 山口 憲司; 北條 喜一
Thin Solid Films, 461(1), p.99 - 105, 2004/08
被引用回数:10 パーセンタイル:46.84(Materials Science, Multidisciplinary)ベータ鉄シリサイド薄膜作製においては、Fe, Si原子の相互拡散及び反応が最も基礎的なプロセスとなる。このため、配向性の高い薄膜や、良好な物性を得るためにはナノ領域における構造,組成の観測と同時にその制御が不可欠である。本発表においては、種々の方法,作製条件により得られた鉄シリサイド薄膜に関して透過型電子顕微鏡,放射光を用いたX線光電子分光法を応用し、その形成過程を明らかにした成果を報告する。併せて、Si基板表面にイオンを照射し意図的に欠陥を生成させることによってより低温で膜生成を促進させた結果、Fe原子がSi基板中に拡散し、シリサイド化する様子を温度変化させながらその場観察した結果など、従来まで演者らの研究により得られた成果についても総括的に発表する。なお、本発表はIUMRS国際会議におけるシリサイド系半導体のセッションでの招待講演である。
森本 泰臣*; 佐々木 政義*; 木村 宏美*; 坂本 慶司; 今井 剛; 奥野 健二*
Fusion Engineering and Design, 66-68, p.651 - 656, 2003/09
被引用回数:3 パーセンタイル:25.79(Nuclear Science & Technology)核融合炉の高周波加熱・電流駆動装置では、高周波(電磁波)をトーラスに入射するための窓が不可欠で、その真空封止窓の材料として人工ダイヤモンドが注目されている。この人工ダイヤモンドのイオン照射や加熱による化学状態変化を、X線光電子分光法(XPS)により調べた。加熱前後のC 1sの結合エネルギーの変化から、高温加熱により、ダイヤモンド構造が、グラファイト化することが、明らかとなった。さらに、Ar照射により、化学状態が複雑な挙動を示すことがわかった。
山本 博之; 馬場 祐治
Journal of the Korean Vacuum Society, 9(S2), p.84 - 88, 2000/11
X線光電子分光法(XPS)の測定において、電子の脱出深さは光電子の運動エネルギーに依存する。エネルギーが可変である放射光を利用すれば光電子の運動エネルギーを変化させ、電子の脱出深さを変化させることが可能である。この原理をもとに、われわれは放射光を用いた高エネルギーXPS(X線エネルギー範囲: 1.8~5keV)により非破壊で深さ方向分析を行う手法を開発した。本発表においてはSi熱酸化膜、酸素イオン注入層の深さ方向分析などに関する従来までの研究内容を紹介すると同時に、Al/Si界面、Ge,Ga/As酸化膜の評価などに関する最新の研究成果を述べ、本手法が化学状態に関する情報を含む深さ方向分析法として有効であることを報告する。なお、本講演・論文は表面分析研究会からの招待により、韓国・慶州で開催される第3回韓日表面分析国際シンポジウムにおいて発表されるものである。
山本 博之; 馬場 祐治
Journal of Surface Analysis, 7(1), p.122 - 127, 2000/03
深さ方向分析が非破壊で可能であれば、そのメリットは非常に大きい。XPS(X線光電子分光法)は非破壊法であるが、分析深さは一定であり、通常の方法では深さ方向分布は得られない。XPSの分析深さは光電子の脱出深さに依存しており、その脱出深さは光電子の運動エネルギーによって変化することから、エネルギー可変の放射光(1.8~6.0keV)を励起源として用いると、それぞれのエネルギーに応じて分析深さが変化することが期待される。本研究では種々の励起エネルギーでSi酸化膜のXPSスペクトルを測定し、その分析深さを変化させて測定を行った。これらの結果から、Si(100)基板上のSiO熱酸化薄膜、Oイオン注入層について、表面数mm程度の領域における深さ方向分布を化学状態を含む形で非破壊的に得た。本法は、従来までの深さ方向分析に加えて新たな情報を提供する手法と考えられる。
三ツ井 誠一郎; 久保田 満*; 山口 明*; 中島 英雄*
JNC TN8430 98-001, 12 Pages, 1998/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分研究において、処分環境でのガラス固化体の長期溶解変質挙動の評価は重要な課題の一つである。本研究では、溶性ケイ酸が飽和した条件での廃棄物ガラスの溶解変質のメカニズムを明らかにするため、飽和条件での浸出試験を実施し、反跳粒子検出法およびX線光電子分光法によって浸出試験後のガラス表面の元素分布を分析した。その結果、溶性ケイ酸が飽和した条件ではガラスマトリクスの水和変質によってガラス表面に水和層が形成されその水和層からは可溶性元素であるNa,Bが溶脱していることがわかった。また、ガラスマトリクスの水和変質と可溶性元素の浸出量の経時変化には密接な関係があることが示唆された。
下郡 一利*; 泊里 治夫*; 小田 正彦*; 藤原 和雄*; 舛形 剛*
PNC TJ1074 98-002, 270 Pages, 1998/02
銅は還元性条件下では熱力学的に腐食しない事が知られている。従って、地下深部本来の環境である還元性環境下において、銅にオーバーパック候補材料としての優位性が与えられる。しかし、処分開始直後には比較的酸化性の環境になるため局部腐食発生の可能性が考えられる。そこで、本研究では酸化性環境下における銅の局部腐食発生の臨界条件を明らかにする事を目的として、80度Cにおける脱気炭酸塩溶液含浸ベントナイト中及び脱気炭酸塩溶液中での60日間の電気化学的試験ならびに暴気炭酸溶液含浸ベントナイト中及び暴気炭酸塩溶液中での60日間の自然浸漬試験を行い、溶液中のイオン濃度ならびに電位と腐食状況との関係を整理し、銅の局部腐食発生の臨界条件の検討を行った。その結果、ベントナイト無しの場合、高腐食性溶液(HCOSUB3/SUPー/S0/SUB4/SUP2-l、高濃度Cl/SUP-)中は勿論のこと、低腐食性溶液(HC0/SUB3/SUP-/S0/SUB4/SUP2-l)に塩素イオン及び硫酸イオン濃度を高めた溶液中においても、淡水や給湯環境中での孔食臨界電位である。"0.115VVSSCEat 60度C(=0.296VvsSHE at 80度C)"以上では局部腐食発生の可能性があるが、ベントナイト有りの場合には、高腐食性溶液中における高電位印加以外の条件では、局部腐食発生の可能性は低いものと考えられる。また、大気平衡下での自然竜位は高くとも上記臨界電位近傍であり、実環境中では酸素の消費も生じるため、局部腐食発生の可能性は更に低いと推察された。
大森 俊造; 日下 誠*
JAERI-Tech 97-025, 20 Pages, 1997/07
大型核融合装置JT-60の加熱用発電設備の電動発電機セルビウス装置に使用されているFRP(繊維強化プラスチック)電気絶縁材の絶縁性能劣化について、その原因究明と対策を実施した。絶縁性能の劣化したFRPの表面には、X線光電子分光法等による分析から、CaCl,Ca(NO)等の潮解性物質の存在が確認された。絶縁性能の劣化は、これら潮解性物質が湿度の高い時に水分を吸収するためと結論付けられる。なお、これらの潮解性物質は、冷却のために取り込んだ外気中に含まれる酸性物質がFRP表面に付着・侵入し、FRPの充填剤である炭酸カルシウムと反応して生成されたものと推定できる。また酸性物質の発生源も確認した。この対策としてカルシウムを含まないポリエステル系のFRP絶縁材に交換し、電気絶縁性能の健全性確保を図った。
山本 博之; 馬場 祐治; 佐々木 貞吉
Photon Factory Activity Report, P. 366, 1995/00
一般に固体中における電子の平均自由行程は、その運動エネルギーによって変化することが知られている。この性質を利用し、放射光を用い照射するX線のエネルギーを変化させ、放出される光電子の運動エネルギーを変えることによって、XPSを用いた表面における深さ方向の解析が可能になると考えられる。本研究では、空気酸化したSi(100)およびO注入Siを対象に、1.9~4.6keVの放射光ビームでSi1s光電子を発生させることにより、Si酸化層の膜厚測定を試みた。それぞれのhにおいて得られたSi/SiO比の結果から、数nm程度の膜厚を評価することができた。
山本 博之; 馬場 祐治; 佐々木 貞吉
Photon Factory Activity Report, (13), P. 352, 1995/00
高エネルギー物理学研究所放射光施設(KEK-PF)が発行する年度報告書(PF Activity Report)用の原稿である。ここでは、X線光電子分光法(XPS)における分析深さが光電子の運動エネルギーに依存することを利用し、Oイオン注入したSi(100)の深さプロファイルを求めた結果について述べた。
山本 博之; 馬場 祐治; 佐々木 貞吉
Surface and Interface Analysis, 23, p.381 - 385, 1995/00
被引用回数:17 パーセンタイル:53.88(Chemistry, Physical)Si(100)表面に5keVのN,Oイオンを注入し、イオン注入層の電子構造についてX線光電子分光法(XPS)、X線励起オージェ電子分光法(XAES)およびX線吸収端微細構造法(XANES)により解析した。O注入の場合、XPS(Si2p),XAES(SiKLL)スペクトルは310/cm以上でSiから急激にSiOの位置へとケミカルシフトが生じる。またXANESスペクトルでは双極子選択則よりSi2pSi3s,Si2pSi3d,Si2sSi3p遷移による吸収ピークが観測され、いずれも4.510/cm以上で3~4eV高エネルギー側にシフトする。これらの構造は既報のSiOのスペクトルに類似しており、O注入層がSiとSiOの混合層からなることを示唆する。一方N注入ではこれらのスペクトルのシフトは照射量の増加に従ってゆるやかに生じ、N注入層がSiとSiNの混合層ではなく、SiとNとのランダムな結合を形成しているものと考えられる。
下山 巖; 平尾 法恵; 馬場 祐治; 岡本 芳浩; 矢板 毅; 鈴木 伸一; 和泉 寿範
no journal, ,
福島における現在の主な放射性汚染物質であるCsはそのほとんどが土壌中の粘土鉱物に取り込まれている。粘土鉱物からのCs乾式除去を目的として、本研究では非放射性Csを飽和収着させた福島産バーミキュライトに対して真空及び低圧加熱処理を行った。Csの脱離挙動に関しては昇温脱離法(TDS)により調べた。また、大気中と低圧中の比較を熱重量分析(TGA)により行った。TGAとTDSの結果から大気中の加熱では脱離しないCsが低圧加熱により脱離することを見いだした。また、NaCl/CaCl混合塩を添加した場合、Cs脱離温度が200Cほど低温側にシフトすることを見いだした。粘土鉱物中に残留したCsについてはX線光電子分光法(XPS)により定量分析を行い、塩添加せず真空中で800C加熱した試料では、約4割のCs除去が確認された。また、塩添加した試料では320Cで約6割、450C加熱で約7割のCs除去が可能であることがわかった。以上の結果は真空(低圧)昇華法と塩添加の組み合わせが従来の乾式法よりも低温でのCs除染の可能性を持つことを示唆している。
馬場 祐治; 下山 巖; 平尾 法恵; 和泉 寿範
no journal, ,
粘土鉱物に吸着した放射性セシウムの化学結合状態を直接分光学的手法で観察することを目的とし、粘土鉱物の主要成分である石英、アルミナ、雲母に吸着したセシウムおよび他のアルカリ金属の化学結合状態を放射光を用いたX線光電子分光法(XPS)で調べた。実際の放射性セシウムの原子数は極めてわずかであるため、マクロ量のセシウムと異なる結合状態をとると考えられる。そこで検出感度を上げるため、X線の全反射現条件でXPSを測定した。その結果、Cs-137の原子数に匹敵する極微量のセシウムおよび他のアルカリ金属のXPS測定が可能であることがわかった。XPSスペクトルにおける内殻結合エネルギーを比較したところ、雲母に吸着した極微量のセシウムはマクロ量のセシウムに比べて、よりプラスに帯電していることがわかった。これは雲母中の酸素のマイナス電荷の影響により、セシウムと酸素の間にイオン結合性が強い化学状態が生じるためと考えられる。このことは、極微量になると生じる特異な化学結合状態が、放射性セシウムが脱離しにくい理由のひとつであることを示唆している。
馬場 祐治; 下山 巖; 平尾 法恵
no journal, ,
粘土鉱物や土壌中の放射性セシウムの化学結合状態を明らかにするため、マイカなどの層状酸化物に収着したセシウムおよび他のアルカリ金属についてX線光電子分光(XPS)測定を行った。Csなど放射性核種の原子数は極めて少ないため、これらの放射性核種の原子数に匹敵する極微量原子の化学結合状態を直接観察する目的で、入射X線の全反射条件でXPSスペクトルを測定した。この方法により、1000分の1層程度の極微量のXPS測定が可能となった。セシウムおよびルビジウムの場合、XPSの内殻結合エネルギーは収着量の減少とともに低エネルギー側にシフトした。一方、ナトリウムの場合は反対に高エネルギー側にシフトした。これらの化学シフトを点電荷モデルにより考察した結果、マイカ表層のセシウムおよびルビジウムは、微量になるほどイオン結合性が強い状態で収着していることを明らかにした。
馬場 祐治; 下山 巖; 平尾 法恵
no journal, ,
酸化物(SiO, AlO)や層状酸化物(マイカ)などに吸着した放射性Csの化学結合状態を明らかにするため、Csの原子数に相当する超微量Csおよび他のアルカリ金属(Na, Rb)について、放射光を用いた全反射X線光電子分光(TR-XPS)測定を行った。TR-XPSにより1/1000層(1cmあたり約200BqのCsに相当)までの超微量CsのXPS測定が可能であった。XPSの内殻結合エネルギーシフトと吸着量の関係を調べた結果、超微量になるほどCsの内殻結合エネルギーは低エネルギー側に、Naは反対に高エネルギー側にシフトした。これらのXPS化学シフトを点電荷モデルで解析した結果、マイカに吸着したCsおよびNaは、超微量になるとイオン結合性が強い状態で吸着していることがわかった。
馬場 祐治; 下山 巖
no journal, ,
全反射X線光電子分光法(XPS)および全反射X線吸収微細構造法(XAFS)により、酸化物表面に吸着した極微量セシウムおよびストロンチウムの化学結合状態を調べた。試料には土壌中において放射性核種の主な吸着サイトと考えられている層状酸化物(雲母)を用いた。全反射XPSの検出限界は、セシウムで約100ピコグラム(200ベクレルのセシウム-137に相当)、ストロンチウムで約150ピコグラム(300ベクレルのストロンチウム-90に相当)であった。種々の吸着量におけるストロンチウムの全反射XPSおよび全反射XAFSスペクトルの主ピークは、吸着量の減少とともに低エネルギー側にシフトした。ストロンチウム化合物の内殻軌道エネルギーは、結合の分極が大きくなるほど低エネルギー側にシフトすることから、ストロンチウムは微量になるほどイオン結合性が強い状態で吸着することを明らかにした。
馬場 祐治; 下山 巖
no journal, ,
全反射X線光電子分光法(XPS)および全反射X線吸収端近傍構造(XANES)により、放射性Cs, Srの土壌中の主な吸着サイトと考えられている雲母に吸着した超微量Cs, Srの化学結合状態を調べた。全反射XPSの検出限界は、Csで約100pg/cm(200BqのCsに相当)、Srで約150pg/cm以下(300BqのSrに相当)であった。Srについて、Sr 2pの全反射XPSおよびSr L3-吸収端全反射XANESスペクトルを測定した結果、いずれも吸着量の減少とともにピークは低エネルギー側にシフトした。この結果を、点電荷モデルに基づき解析した結果、Srは微量になるほどイオン結合性が強い状態で吸着することがわかった。
馬場 祐治; 下山 巖
no journal, ,
福島第一原子力発電所の事故以来、土壌など環境試料中に吸着したCs(Cs)の除染法の確立は緊急の課題である。汚染試料を加熱してCsを蒸発させる乾式法は、廃棄物の発生量が少ないため有力な除染法であるが、エネルギーコストを考えると、できるだけ低温でCsを蒸発させる必要がある。Csはイオン化電位が3.9eVと全元素中最小なので、加熱によりCsイオンとして脱離する可能性がある。そこで、Cs化合物(CsCl)およびCsを吸着させた粘土鉱物について、加熱した時の脱離種を四重極質量分析計により、残渣の組成と化学状態を蛍光X線及びバルク敏感の放射光X線光電子分光法(XPS)により測定した。Cs吸着粘土を460Cに加熱すると、中性のCsは検出限界以下であったが、イオンの脱離ではCsが明瞭に認められた。460Cで2時間加熱した後の残渣をXPSで測定した結果、Cs3dのピーク強度は加熱により約13%減少した。このことから、粘土に正電位を印加して加熱することによりCsの一部を、比較的低温でCsイオンとして脱離させることができることがわかった。